約 3,810,905 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18256.html
「唯とムギはさ……」 不意に澪が呟き始めた。 そうだな。それも考えなきゃいけない事だった。 私達の道は、私と澪だけの意志で決めていい事じゃない。 私、澪、唯、ムギ、梓の五人で決めるべき事なんだ。 私は真剣な表情を澪に向けて、澪の次の言葉を待つ。 数秒経って、澪が静かに口を開いた。 「まだロンドンで三人を捜したいみたいだ。 でも、一応、ムギの方は他の街にも行ってみたいって言ってたよ。 ムギも散々捜して気付いたんだと思う。 ロンドンに和達は来てないんだろうって。 和達は何処か違う街か世界に居るんだろうって。 でも、完全には諦め切れてないみたいでさ……、 もう少しだけ……、もう少し納得出来るまで捜したいらしい。 それはそれで大切な事なんだって私も思うよ……。 だけど、唯は……、唯はさ……」 澪が視線を散漫とさせる。 躊躇いがちに何度も呼吸する。 唯が何か変だって言うんだろうか。 私はそれを察して、澪に訊ねてみる。 「唯の恰好の事か? あいつ、半日に一回くらい、 憂ちゃんみたいな髪型して、和みたいな眼鏡を掛けてるもんな……。 でも、あれは、きっと……」 あいつの決心だ。 とは言えなかった。 私の言葉が終わるより先に、澪が首を横に振ったからだ。 予想外の澪の行動だった。 私は思わず間抜けな質問をしてしまう。 「違う……のか……?」 「うん、違うよ、律……。 いや、違ってないけど、違うんだ……。 唯のあの恰好を見た時は私も驚いたよ。 過去に……、思い出に逃げ込んでるのかって思った。 でも、それは違ったんだんだよな。 唯は和達を忘れないためにあの恰好をしてるんだ。 それは唯の決心で、私は唯の選択肢を尊重したい。 まっすぐに思い出に目を向けてられる唯は、本当に凄いなって思う。 でもさ……。 ここ三日くらいの唯は変じゃないか……? 特に唯の奴、律と視線を合わせようとしてない気がするんだよ。 律……、唯と何か……、あったのか……?」 分かるわけがなかった。 私だってその答えは出せてないんだ。 でも、やっぱりな、って妙に納得もしていた。 澪達が見てて分かるくらい、私達の関係は変になっちゃってるんだ。 それをどうしたらいいのかは、分からない。 私が黙ってるのを不安に思ったのか、澪が静かな声で続けた。 「ごめん、律……。 当人同士の問題なのに口出しちゃって……。 でも、もし私に何か出来る事があったら……」 澪の申し出はありがたかった。 でも、それは澪のためにも唯のためにもならない気がした。 私と唯の問題は私達が解決するべき事だし、 唯だって何か考えがあっての行動のはずだ。 だから、私に出来る事は……。 私は自転車から降りて、澪に近付いてその肩を叩いた。 澪は何の心配もしなくていいんだって伝えるために。 「ありがとうな、澪。 でも、大丈夫だよ。 私達が考えてるのと同じように、唯だって何かを考えてるだけなんだ。 だから、あいつの好きにやらせてやろうぜ? 私はあいつの答えが出るまで待つつもりだよ。 それまで私はどっちの準備もしておく。 ロンドンに滞在する準備と、何処か違う街に行く準備をさ。 両方の準備をしておけば、皆の答えが出た時にすぐ行動が起こせるだろ?」 それは澪を安心させるための言葉だったけど、本音でもあった。 私は皆の選択肢の支えになれたら、それで嬉しい。 だけど、澪は更に不安そうな表情になって、逆に私の両肩に手を置いた。 何故かとても……、辛そうな表情だった。 「皆の答え……って、律のは……? 律の答えは……、どうなの……? 律はどうしたいの……?」 私がどうしたいかだって? そんなの決まり切ってるじゃないか。 私は肩に置かれた澪の手を取って、真面目な顔で言ってみせた。 「皆の出した答えが私の答えなんだよ、澪。 皆がどんな答えを出したって、 おまえがどんな答えを出したって、 私はどんな答えでも実現出来るように、精一杯フォローしたいんだ。 皆の手助けが出来るって事が、私の一番嬉しい事なんだよ」 それは私の心の底からの本音だった。 私はこれまで、皆のためにほとんど何も出来てない。 だから、何かをしたかった。 こんな頼りにならない部長の私でも、 いや、頼りにならない部長だからこそ、皆の答えを支えたいんだ。 それが私の答えなんだ。 でも、澪は辛そうな顔のままで首を振った。 それは滅多に見せる事が無い澪の本当に辛そうな顔だった。 澪は怖がりだ。色んな事からすぐ逃げるし、何にだって怯えがちだ。 だけど、本当に辛そうな表情を見せる事は少なかった。 特に澪は自分に何かが起こったからって、辛そうな表情を見せる奴じゃない。 前に澪がこんな顔を見せたのは、確か、そう、私が骨を折った時の事だったはずだ。 澪はそういう奴なんだ。そういう幼馴染みなんだ……。 澪が口を開く。 普段の私に似た口調じゃなくて、小さな頃に戻ったみたいな口調で喋り始める。 「駄目だよ、律……。 そんなの、絶対に駄目だよ……。 律は律で、自分の答えを出してよ……。 私達の事を支えようとしてくれてるのは嬉しいけど、でも……。 この答えだけは……、律も……、考えてよ……」 どうして澪がこんなに辛そうな顔をするのか、私には分からなかった。 ただ、私が澪を悲しませてしまってるって事だけは分かった。 私は今……、澪を傷付けちゃってるんだ……。 でも、何でなんだ? 私は皆の手助けがしたいんだ。その気持ちには絶対に嘘は無い。 和達を守れなかった分、残された皆だけは守りたいんだ。 皆、幸せで居てほしいんだ……。 そのためなら、私は何だってしたい。 だけど、澪はそれを辛いと思ってる。悲しんでるみたいだ。 私なんかに支えられたくないから……? 役立たずの私に支えられたって、足手纏いにしかならないから……? いや、違う。そうじゃない。 澪はそんな事を考える奴じゃない。 澪は私の事を考えて、私を思いやって、辛いって思ってくれてるんだ。 長い付き合いなんだ。それくらいの澪の気持ちは分かるつもりだ。 澪の気持ちは嬉しい。 どうしてそんなに私の事で悲しんでくれるのかは分からないけど、とっても嬉しい。 でも、澪の気持ちを嬉しく思ってばかりもいられなかった。 澪の気持ちは嬉しいけど、それに甘えちゃいけないって思う。 もう決めたんだ。 私は過去を見ない事にした。自分の気持ちに溺れない事にした。 胸の痛みを感じながら前に進めるほど、私は器用じゃない。 馬鹿みたいに、全然、器用じゃない。 もう何も失わないために、皆が傍に居るために、私は精一杯皆を支えるんだ。 そのためにピックだって投げ捨てたんだ……! 私は自分の肩に置かれた澪の手を握る。 強く握って、嘘っぽくても力強く笑ってみせる。 「悪かったよ、澪……。 でも、そんなに心配しなくても大丈夫だぜ? 私だって考えたんだ。考えて、考え抜いた答えがそれなんだよ。 皆と一緒に居て、皆の手助けが出来たら、すっげー嬉しいんだよ。 それが私の答えなんだよ。 皆が出してくれた答えなら、何だって納得出来ると思うしさ」 「律の言ってる事は分かるよ……。 でも……、でもね……、律……。それは……」 澪が躊躇いがちに口ごもる。 きっと澪も自分が何を言いたいのか、完全には分かってないんだろう。 心の何処かで私にそうさせちゃいけないって思いながら、その理由が分かってないんだと思う。 詳しく分かってないのは私達も同じだ、って、その澪の姿を見て、私は何となく気付いた。 私も含めて、澪もムギも梓も唯も怖がってる。 何かを失う事を心の奥底から恐怖してる。 でも、どうしてそんなに怖いのか、その理由を多分、全員が分かってない。 ただ、失うのが怖いって気持ちだけは、胸の中にずっと居座ってる。 失うのが怖いのは当然の事だ。 誰だって、大切な物を失いたくないはずだ。 そんなの当たり前じゃないか。 だけど、必要以上に怖がってるって気がしなくもないんだよ。 人が消えたとは言え、ムギってあんなに怖がりだったか? 澪もあんなに家の中に閉じこもるくらい臆病だったか? 私だって何でこんなに不安になっちゃってるんだ? どうしてだ? ひょっとして、私達は大切な事を忘れてしまってるのか? この閉ざされた世界に迷い込むより先に、私達は何かを既に失ってしまってたのか? 思い出せない。そこの記憶がすごく曖昧だ。 私達は本当にあの夏休みの日に、この世界に迷い込んだのか? 本当はもっと後だったんじゃないか? あの日、梓達と合流した時じゃなくて、もっと後、何かが起こって私達は……。 そう思うのには、ちゃんとした根拠もあった。 私の中のはっきりとしない記憶の事だ。 あの夏休みの日、強い風が吹いた時、さわちゃんはそこに居なかったはずだ。 眼鏡の新入生のあの子だって居なかったはずだ。 だけど、不意に思い出すんだ。 その場に居なかったはずの二人の姿を、その風景の中に。 心地良い疲れを感じながら、皆で帰り道を歩いてたような、そんな気がするんだ。 同時に強く感じる。 何かを失ってしまったっていう、今にも叫び出したいくらいの喪失感を。 「澪、おまえは……」 訊ねようとしたけど、すぐに私もそれ以上の言葉を出すのを躊躇った。 訊ねてどうなるって言うんだろう。 自分達の記憶が曖昧だって事に気付いて、どうするんだ? 自分の記憶すら信じられない状態になって、もっと不安になっていくつもりか? 他に出来る事や、やるべき事があるんじゃないか? いや、それでも、答えを知る事はきっと前に進むきっかけにも……。 色んな感情や考えが頭の中でぐるぐる回る。 この答えだけは、出さなきゃ……。 皆が一緒に居るためにも、この答えだけは出せなきゃいけない……。 「律先輩! 澪先輩!」 急に甲高い声がロンドンの街に響いた。 急な事に驚いた私達は身体を離し、声の方向に視線を向ける。 その場所では、梓が自転車に乗って凄い速度で私達に迫って来ていた。 どうしてこんな所に? いや、梓が私達の居る場所を分かってるのは不思議じゃない。 ロンドンに転移させられて以来、 私達は街を回る時、前もって皆で地図を見ながら回る道順を決めている。 勿論、連絡手段が全く無いし、お互いの居場所が分からなくなったら困るからな。 流石に狼煙で緊急事態を伝えるわけにもいかないし……。 だから、念のため、私達は前もってその日に回る道順を決めてたんだ。 梓に私達の居場所が分かってても、何の不思議も問題も無い。 でも、この場所に梓が姿を見せたって事が問題なんだ。 しかも、一人っきりで。 皆で手を繋いで行動する事を提案した梓が、 私を風呂の中でも一人にしたくなかった梓が、一人っきりでこの場所にやって来たんだ。 よっぽどの事があったんだ……。 胸を不安が支配していく事に気付く。 その場に立っていられない不安感。 私は思わず梓の方に駆け寄ろうとして……、出来なかった。 その場から動き出せなかった。 足が固まって、踏み出す事が出来なかった。 緊急事態の詳細を知るのが怖いってのはある。 これ以上、自分達の身に降りかかる災難に目を向けたくないって弱気は勿論ある。 でも、それよりも動き出せない理由が、私にはあった。 梓の事だ。 梓の傍に近寄るのが、怖かった。 そんな事はもう無いと思う。 無いと思うのに……、もし梓に近付いた時に、 私が自分を抑えられなかったらどうしようって思ってる。 私の胸に突然衝動が湧き上がって、それでもう一度自分を押し留められる保証はない。 その不安には、梓の身体が小さいって事も関係してる気がする。 梓の身体は小さい。小柄って言われる私よりも更に小さい。 だから、余計に怖いんだ。 唯、ムギ、澪なら私が自分を抑えられなくなっても、止めてくれると思う。 唯もああ見えて、それなりに力がある奴だし、意志も強い奴だからな。 でも、梓はきっと無理だ。 小柄で、優しい子だから、 私が変な衝動に囚われても、受け入れてくれるんじゃないかって思う。 嬉しいけど……、そんなのは駄目だ。 梓の優しさに甘えてちゃ駄目なんだ。 自分の弱さを慰めててもらってちゃ、私はもっと弱くなる。 今まで以上に、前に進めなくなる……! 結局。 先に梓の方に駆け寄って行ったのは澪だった。 梓が自転車から降りて、澪がその梓の肩に両手を置くのを見届けてから、 やっと私は自分の足を動かす事が出来た。どうにかこうにか、やっとの事で動き出せた。 そうして私は、澪から何十歩も遅れて、歩き出した。 「どうしたんだ、梓? 非常事態なのか? 唯かムギに何かあったのか……?」 さっきまでと違って、逞しい姿と口調で澪が梓に訊ねる。 切り替えの早い奴だな、って思う。 誰よりも怖がりなのに……、 いや、誰よりも怖がりだからこそ、澪は恐怖との付き合い方を知ってるんだ。 怖いくせに、不安になってる梓を安心させてやるために、気丈な姿を見せてるんだ。 くそっ……、やっぱり何も出来てないのは私だけじゃないか……。 もっともっと色んな物を心の中に閉じ込めて、皆の足手纏いにならないようにしないと……! 「あ、はい……! 実は……、あの……っ!」 梓が私の方に視線を何度か向けながら喋り始める。 普段なら一番先に駆け寄るはずの私の足が遅い事が気になってるんだろう。 そりゃ気になるよな……。 私は意を決して、急いで梓の傍にまで走り寄った。 ただし、梓と澪からは少し離れた距離に。 梓はその私の距離をまだ気にしてたみたいだけど、 それどころじゃないと思ったらしく、澪に向けて言葉を続けた。 「今、ムギ先輩に付き添ってもらってるんですけど……、 唯先輩が……、唯先輩の様子がおかしくって、それで……っ! それで私、先輩達を呼びに……っ!」 「唯が……っ?」 澪が小さく叫ぶ。 私も叫びたかったけど、それはどうにか押し留めた。 この三日くらい、様子がおかしかった唯……。 誰よりも大切な妹を失った唯……。 唯に何が起こったんだろう。 いや、何が起こってたって構わない。 唯に何かが起こったってんなら、私は全力であいつを助けてやるだけだ。 助けなきゃ、いけないんだ……! 澪が私に視線を向ける。 私は澪と視線を合わせ、大きく頷いてから、大声で言った。 「分かった! 戻るぞ、澪、梓! 唯に何が起こったのかは、帰り道で詳しく教えてくれ!」 言った後、私と澪は急いで自分の自転車に乗り直した。 梓は少しだけ安心したみたいで、私達の様子を静かに見ていてくれたけど……。 私の気のせいかもしれないけど……。 その梓の視線はとても……、とても寂しそうに見えた。 ◎ 梓から話には聞いてた事だったけど、 ホテルの部屋に戻って唯の姿を見た瞬間、私は自分の胸が強く痛むのを感じた。 もっと早く気付いてやれてれば、と後悔の心が湧き上がって来る。 でも、後悔してるだけってのは、自分自身で許せなかった。 私はベッドの横で心配そうに唯を見守るムギに静かに声を掛ける。 「唯の様子は……、どうなんだ……?」 ムギが泣き出しそうな表情を私に向ける。 ベッドに横になってる唯と二人きりで不安だったのかもしれない。 私はムギの肩に優しく手を置いてから、口を閉じた。 ムギが話し始めるのを待とうと思ったんだ。 十秒くらい経ってから、少しは落ち着いたのか、ムギが口を開いてくれた。 「うん……、唯ちゃんはさっき眠ってくれた所よ……。 少しうなされてたみたいだけど、今はちょっと落ち着いたみたい……」 「そっか……」 呟いて、私はムギの隣で膝立ちになった。 そうして、ベッドに横になって寝息を立ててる唯の顔を見ながら呟く。 「風邪……なのか……?」 「うん、多分……。 風邪……だと思うよ……。 唯ちゃん……、ずっと気を張ってたみたいだから……」 41
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18275.html
◎ 何となく目にした公園の隅っこ。 私達は腰を下ろして、肩を並べて、少しだけ微笑む。 私達の手首は純白のリボンで結ばれていた。 繋いでいるわけじゃない。 強く結んでるわけでもない。 軽く……、本当に軽くだけ私達五人の手首は結ばれている。 多分、その事に皆安心出来てる。 まだそんな物に頼ってしまっちゃうのかって、情けなく思わないと言えば嘘になる。 手を結ばなきゃ、安心出来ないのかって。 でも、私達はまだそんなに強くない。 私達のこの世界での物語は始まったばかりなんだ。 皆の絆をずっと信じらていくには、自信も勇気もまだまだ足りない。 いきなり絆だけを信じて生きるなんて、そんな事は出来そうにない。 それに、いきなり身の丈に合わない事をしようとしたって、余計酷い目に遭っちゃうだけだとも思う。 過去を無理矢理に捨てようとした私と梓、 過去を縋り付いてでも守ろうとした唯の姿を鑑みるに、無理をしたってろくな事にはならない。 だから、少しずつ……。 私達は少しずつ前に進んでいくべきなんだ。 今、唯が掛けている眼鏡もそうだった。 五人で手首を結ぶ前に、唯は言っていた。 「眼鏡を掛けてると、和ちゃんが傍に居てくれてる気がするんだ」って。 確かに眼鏡は和のトレードマークだ。 眼鏡で和を連想するのは理に適ってるし、そういう意味で唯も前まで赤い眼鏡を掛けてたんだろう。 赤いアンダーリムの眼鏡……、和の物と同じ種類の眼鏡を。 でも、今の唯はその眼鏡を掛けていなかった。 太い黒縁の古臭い眼鏡。和の眼鏡とは似ても似つかない眼鏡だ。 私がその理由を訊ねるより先に、唯は照れた顔で言葉を続けていた。 「でもね、和ちゃん……、 きっと「そういうのはやめなさい」って言うと思うんだよね……。 和ちゃんが本当に傍に居てくれたら、そういう風に言うと思うんだ……。 「私の事ばかり考えるのはやめなさい」って、きっと……。 でも、私、和ちゃんにはまだ傍に居てほしいし、忘れそうになるのが怖いから……、 だから、この眼鏡なら和ちゃんも許してくれるかも、って思ったんだよね。 和ちゃんは私が頑張るのを待っててくれる子だったから、 のんびりゆっくりでも私が前に進むのを嬉しく思ってる子だったからね……、 だからね……、いつか眼鏡無しでも和ちゃんの事を信じられるために、今は……」 唯が最後まで言う前に、私は唯の手を強く握って頷いた。 強くなろう。皆で少しずつ。 まだ弱くて情けない私達だけど、未来を信じていくために進むんだ。 そうして、五人で肩を並べ、空を見上げる。 右端から、梓、澪、私、唯、ムギの順で手首を繋いで語り合う。 色々な事を語り合っていく。 今まで言えなかった事、隠してた想い、これからの事、色んな事を……。 澪が自分が強がれた理由を告白する。 ムギがほんの少し憶えていた私達の大怪我について語る。 唯が眼鏡だけじゃなく、憂ちゃんと同じ髪型にしていた理由を言う。 梓が私達の手を包帯で繋いでしまった理由を喋る。 私が今まで皆に迷惑を掛けてしまった事を謝罪する。 隠していた想いを、お互いがお互いに伝えていく。 少しずつ、お互いの想いを理解していく。 本当に少しずつ。 だけど、確実に……。 ある程度、皆の想いをお互いに伝え終わった頃、梓が静かに独り言みたいに呟いた。 「結局……、この世界って何なんでしょうね……?」 「えっ……? 私の夢……じゃないの?」 唯が首を傾げて梓に訊ねると、梓は苦笑する事でそれを返した。 「いえ、それは多分そうなんでしょうけど、理屈……って言うんでしょうか? そもそも、どうしてこんな事が起こってしまったのか、って事ですよ、唯先輩。 唯先輩が大怪我をしてしまって私達はそれが悲しくて、 それで私達はこの閉ざされた世界に来る事になりました。 でも、悲しかったからって、それだけでこういう事になるものなんでしょうか?」 「それもそうよね……」 名探偵ムギが口元に手を当てて首を捻る。 ムギはしばらくそうしていたけど、答えは出なかったらしく、困ったように苦笑した。 そりゃそうだ。 ムギは名探偵だけど、こんなの名探偵が解決する事件の範疇じゃないもんな。 と、私は不意に思い出した。 そういえば、この世界の謎について、心当たりがありそうな奴が一人だけ居たって事に。 私はそいつと繋いでいた手に少しだけ力を入れてから、訊ねてみる。 「そういや、澪……」 「どうした?」 「おまえ、この世界の正体について、何か心当たりがあるんじゃないか? この世界が唯の夢だってのはほぼ確定として、 その原因についても考えがあるっぽいじゃんか」 「いや、確かにあるよ? ある事にはあるんだけど……、でも、確証があるわけじゃないし、 いい加減な事を言って皆を戸惑わせるわけにもいかないだろ……?」 慎重そうに澪が呟く。 まったく……、人の事には口を出せるくせに、自分の事となると相変わらず気弱だな、澪は。 でも、それは、私も同じ……かな? やっぱり幼馴染みなんだって事だろうな、私と澪は。 私は苦笑してから、澪と繋いだ手に優しく力を込めてやった。 「いいんだよ、確証が無くたってさ。 そういうのも皆で話して検証して行こうぜ? 違ってたら違ってたでいいじゃんか。 もう今更何が原因でも、ちょっとやそっとじゃ驚かないしさ」 「そうだよ、澪ちゃん! 難しい事は分からないけど、私もこの世界の事についてもっと知りたいよ!」 私に続いて唯が賛同してくれた。 多分、私達の中でこの世界の正体について一番知りたいのは唯だろう。 そもそもの原因が唯の夢なのかもしれないんだもんな。 責任を感じてる所もあるんだろう。 澪もそれは分かってたみたいで、真剣な表情で「分かったよ」と頷いてくれた。 私はその澪の様子に嬉しくなって、つい肩で軽く澪の肩を押してしまっていた。 「ありがとな、澪。 そういや、昨日、この世界についてなのかは知らないけど、何か呟いてたよな? サンバ……だっけ?」 「サヴァンだ、サヴァン」 ボケたつもりはなかったけど、澪に突っ込まれてしまった。 そうか……、サンバじゃなかったのか……。 しかし、何だ、サヴァンっては……? 「サヴァンって……、サヴァン能力の事ですよね?」 そう澪に訊ねたのは梓だった。 梓も意外と色んな事知ってるよな……。 梓も知ってるって事は、そんなにマイナーな言葉ってわけじゃないのかな? 澪は梓の言葉に頷くと、何も分かってない私達三人に説明を始めてくれた。 「サヴァン能力って言うのは、脳に障害を持っていて、 そんな事が出来るはずがないのに、何故か出来てしまう能力の事なんだ。 ……って、この説明だけじゃ分かりにくいよな……。 そうだな……、サヴァンって言葉は知らなくても、テレビで見かけた事はあるはずだよ。 確か律と私の家で一緒に何となく観てた番組の特集でもやってたはずだ。 憶えてないか? 漢字を書く事も出来ない人が十桁以上の掛け算を一瞬で解いたり、 会話も出来ない人がピアノを完璧に演奏してしまうってシーンがあったはずだけど……」 あー……、何となく憶えてる気がするな。 アンビリーバブル的な番組だったはずだ、多分。 私、あの番組はホラーとファニーが好きだから、その辺真面目に観てないんだよな……。 でも、一応、澪とそういう番組を観てたって記憶はある。 その特集の中では、会話もままならない人が確かに私達よりも完璧な演奏を見せていた。 あんまりにも上手かったから何か悔しかった事だけはちょっと憶えてる。 でも、そのサヴァンってのが、この世界と何の関係があるって言うんだろうか? 私がそれを訊ねると、澪はまた丁寧な説明を続ける。 「サヴァン能力ってのは、大概が生まれつき身に着けているものって思われてたらしい。 でも、それは単に後天的に脳に障害を持つ事が少なかったから、そう思われてたってだけみたいなんだ。 サヴァン能力みたいな物を後天的に身に着ける人もいるそうだ。 サヴァン能力の原因については諸説入り乱れてるみたいだけど、 今の所有力な説は脳の再配置ってやつが原因だって前に本で読んだ事があるよ」 「脳の再配置と言えば、幻肢痛の原因とも言われてる現象ですよね?」 そう訊ねたのはまた梓だった。 本当に博学な奴だな、こいつは……。 澪はよく本を読む奴だからいいとしても、梓は何処でそんな知識を仕入れてるんだ? あー、ひょっとするとインターネットか? 梓の奴、ネットは結構やってるみたいだから、その辺から仕入れてるのかもな。 まあ、今はそんな事はどうでもいいか。 私は苦笑してから、澪に訊ねる。 「で、その再配置が何だって言うんだよ?」 「詳しい説明は省くけどさ、要は弱点を補うために別の所が成長するって事かな。 律には漫画的な説明の方が分かりやすいかもしれないな。 たまに見かけると思うけど、盲目の武術の達人を連想してもらえれば分かりやすいと思う。 律がよく読む漫画にはそんな登場人物って結構出て来るだろ?」 「いや……、そんなに格闘漫画ばっかり読んでるわけじゃないんだが……。 でも、まあ、確かに居るな。 うん、思い出してみただけで、結構居るよ、盲目の武術の達人」 「だろ? 実はあれには科学的な根拠もあるらしいんだ。 視覚を失う事で、元々視覚のために使っていた脳を、 聴覚とか嗅覚とか別の機能に使えるようになる事もあるらしいんだよ。 それが脳の再配置……、ここまでは分かってくれたか?」 「まあ、何となく……。 つまり、失った何かを補うために、一点集中で違う何かを伸ばすって事……でいいのか?」 「大体、そう考えてもらって間違いないかな。 さっきも言ったけど、サヴァン能力もその脳の再配置が原因らしい。 会話をする能力が無い代わりに天才的な音楽の才能を持ったり、 数字の計算が出来ない代わりに写実的で完璧な絵画を描けるようになったり……、 とにかくそれがサヴァン能力なんだよ。 ……何かに似てると思わないか?」 「ひょっとして……」 澪の問い掛けに、ムギが神妙な表情で呟いた。 ムギが呟いてくれたおかげで、私もムギが何を言いたいのか気付けた。 私達の中で一番、私達の怪我の事を憶えているムギ。 そのムギが誰よりも先に気付くって事は……。 躊躇いながら、ムギが言葉を続ける 「唯ちゃんの……、頭の大怪我……?」 何処か悲しそうなムギに向けて、「ああ」と澪は頷いた。 澪も少し悲しそうだったけど、それでも言葉を続けてくれた。 「まだはっきりと思い出せてるわけじゃない。 でも、元の世界では、確か唯は頭に大怪我を負って、その日から眠り続けるようになった。 植物状態ってわけじゃないけど、何故か目を覚まさなくなったはずだ。 多分、脳の何処かに障害が出たんだと思う。 それで目を覚ます事が難しくなったんだ……」 「……唯が目を覚まさなかったのは、私も何となく憶えてるよ、澪。 でも、それとこの世界に何の関係があるって言うんだ……?」 私が訊ねると、澪は少し溜息を吐いた。 どうやらそこから先の推論には自信が無いみたいだ。 それでも、澪は私の瞳を見つめて言ってくれた。 「ここから先の推論は科学的と言うより、SFの範疇になるんだ。 あくまでそういう考え方も出来るって前提で聞いてほしい。 ……脳波くらいは皆知ってるよな? 詳しくは違うんだろうけど、簡単に言えば人間の脳に流れてる電気の事だよ。 電波って言ってもいいかもしれない。 とにかく、人間の脳も電気と電波で動いてるんだ。 脳からの指令は弱い電気信号で全身に伝えられてるのは、もう常識レベルの話だしさ。 当然の話だけど、その電気信号はその人固有の物で、他の誰かに影響を与える事は無い。 そう考えられてる。 でも、本当にそうなのかな? 何らかの原因で強い脳波を発せるようになれば、 誰かの脳にも影響を与えられるようになるとは考えられないか? 例えば脳に障害を負って眠り続けるようになってしまって、 誰とも喋る事も触れ合うも出来なくなってしまったけど、 その代わりに別のコミュニケーションの方法として、 近い脳波を持つ他人を自分の夢の中に引きこめるようになった……、そんな感じにさ」 「じゃあさ……、澪。 つまり、この世界は本当の意味で……」 「ああ、夢なんだよ、本当の意味で。 正確に言うと、私達が唯の夢の中に入り込んでるわけじゃない。 唯の脳波の影響で、同じ夢を五人とも同時に見てるんだよ。 元の世界での私達は、傍から見ていると唯と同じく眠り続けてるように見えるはずだ。 それがきっとこの世界の正体なんだと私は思う」 夢……。 本当の意味での夢……か。 簡単には信じられる話じゃなかったけど、心の何処かでは納得していた。 澪の推論が正しいとは限らないけれど、そう考えれば全ての説明が出来る気がした。 そう考えれば……、って、あれ? そういや、一つだけちょっと分からない所があったな。 それを私が訊ねるより先に、梓が小さな声で澪に私が考えていたのと同じ事を訊ねていた。 「近い脳波……って言うのは、何なんですか、澪先輩?」 「そうだな……。 これも私の勝手な推論なんだけど、 この夢は唯が無意識に選んだ人しか入れないって思うんだ。 私達以外には他に誰も居ないわけだし、 無差別に他人を夢の中に引き込めてるようには見えないだろ? だから、脳波か、感情か、想いか、どれかは分からないけど、 そのどれかが唯と近い他人しか、この世界には来れないんだと私は思う。 例えば……、唯ともう一度話をしたくて耐えられなかった、私達とか……さ」 澪の言う通りだと思った。 そうだ。唯が無意識に望んだからってだけじゃない。 私達も望んだから、私達はこの世界に来る事になったんだ。 この世界は唯の夢ってだけじゃなく、私達の夢の姿でもあるんだ。 だけど、そこで梓が珍しく澪に食い下がった。 まだ納得出来てない事があるらしい。 「唯先輩ともう一度話をしたかったっていうのは、分かります。 私だって、唯先輩が目を覚まさなかった事は……、凄く辛かった憶えがありますから……。 でも、澪先輩……、それなら、もっと他にこの世界に来るべき……、 いいえ、残るべきだった子が居るって思いませんか?」 「憂ちゃん……だな……」 澪が梓の言葉に頷きながら呟く。 それは澪も考えてなくはなかったらしい。 梓の疑問はもっともだった。 順位を考えるなんて馬鹿馬鹿しいけど、 でも、世界中を見渡してみて、唯の事を一番考えてるのは憂ちゃんのはずだ。 それに私達よりも、唯の家族の方が唯とまた話をしたがってるのも間違いない。 だとしたら、どうして憂ちゃんはこの世界に残っていないんだろうか……? 澪は皆の顔を見渡してから、続けた。 この世界に怯えてたからこそ、見つけられた答えを伝えてくれた。 「さっき言ったけど、そこはまた脳波が原因じゃないかって思うんだよ、梓。 皆は知ってるか? 傍で共同作業をしている人間の脳波は、いつの間にか似通って来るらしいんだ。 軽音部でさ、皆が活動している内に、皆の脳波が近くなってたとは考えられないかな?」 「それは……、喜んだらいいのか、悲しいんだらいいのか、何とも言えないな……」 私が呟くと、話を黙って聞いていた唯が頬を膨らませた。 私の発言に納得がいかなかったらしい。 「ええー……、皆の気持ちが一緒になるって素敵な事だよー? りっちゃんはそれが嬉しくないのー……?」 「それは確かに素敵な事だと思うんだが……、 知らず知らずの内に私の脳波が唯の脳波に近付いちゃってたってのがなー……。 何か色んな日常生活に支障がありそうじゃん」 「何それー……。 ひどいよ、りっちゃん……」 唯がちょっと悲しそうに視線を伏せる。 私は苦笑して、リボンで結んだままの手で唯の頭を撫でて言ってやった。 「冗談だよ、唯。 それが今のこの世界に来る事になったきっかけになったんなら、私だって嬉しいよ。 私……、おまえと話したい事がいっぱい残ってたんだからさ」 「りっちゃん……」 「まあ、唯と考え方が似通っちゃうってのは、勘弁だけどな!」 「りっちゃんたら、もーっ……!」 「私も唯先輩の脳波に近付いちゃうのはちょっと……」 「あずにゃんまでー!」 60
https://w.atwiki.jp/majikon/pages/25.html
#blognavi 【NDS】マジコン販売価格情報 11【業者立入禁止】 カテゴリ [マジコン] - trackback- 2009年09月03日 18 43 33 #blognavi
https://w.atwiki.jp/angevierge/pages/128.html
《閉ざされし魔王 メルビナ》 プログレスカード レベル2/黒/P6000/G4000/S1 【悪魔】/【魔法】 リンクフレーム なし 《自》リンク‐リンクステップ開始時【リンク(5)‐3】そのターン中、このカードのパワーを+4000。 「ククク……我が力の前に触れ伏せ、ぐみゅ、ぐ、愚民ども!」 illust vanilla プロモカードで登場のレベル2の黒色のプログレスカード。 2013年10月のショップ大会や公式イベントの商品として配布された。 2013年10月10日の今日のカード。 収録 プロモカード PR-008 PR
https://w.atwiki.jp/m3m3m3/pages/11.html
NDS モード M3 専用オプションPasskeyを用いることでNDSモードに入ることが出来ます。 自作プログラム、デモ、などを変換なしで動作する事が可能です。 また変換モードもサポートしております。 (全てのプログラム対応している保証ではございません。) 他社製品 専用オプションを用いることでNDSモードに入ることが出来ます。 自作ゲーム、デモ、などをサポートします。 プログラム変換しないと動作致しません。 SMSシステム M3 NDS・GBA両モード対応しております。 (同じプログラム最大SRAMデータ 200個まで作成でき、管理する事が可能です。) 他社製品 対応しておりません。 GBA速度の互換性 M3 遅延現象は発生しません。 プログラム読み込み速度は早い。 最大内部8xDMAサポート 他社製品 ゲームによって処理速度が低下し、遅延やゲーム速度が低下する現象が発生します。 プログラム読み込み速度は遅い。 メディアタイプ M3 CF / SD / MINISD / MicroSD 他社製品 CF / SD / MINISD / Micro SD 最大容量 M3 CF/SDカードに依存します。 現時点で最大8Gまでサポート。 ファイルシステムはFAT32対応 他社製品 CF/SDカードに依存します。 最大2Gまでサポート ファイルシステムはFAT16のみ対応。 SRAMの互換性 M3 バックアップ機能搭載。電池内蔵の為、直接セーブ可能。 他社製品 内蔵電池が無い為、直接ではセーブする事ができません。 ランダム書き込み中に電源オフしますとメディア破壊される可能性あります。 RTC IC M3 RTC機能搭載しております。 ※ M3 Professional-MINI SD 日本語版は搭載しておりません。 他社製品 RTC搭載されておりません。 プログラムの互換性 M3 自作プログラムは変換無しで動作をサポートしております。 また変換モードもサポートしております。 他社製品 全ての自作プログラムを動作させる為には一旦変換作業が必要です。また、動作しないプログラムが多数あります。 インターフェース画面 M3 グラフィックアイコン操作画面。 日本語完全対応。 スキンデータなどで操作画面変更も可能です。 マルチメディアモードはタッチパネル対応。 他社製品 文字のみのシンプルな画面です。 標準では日本語表示できません。 省電力性 M3 連続稼動9時間以上。(CF版) 連続稼動8.5時間以上。(SD版) 他社製品 連続稼動大よそ4時間。 動画プレイヤー機能 M3 クリスタルエンジン搭載。 他社製品 ノーマルエンジン。 音楽プレイヤー機能 M3 MP3フォーマット形式サポート。(NDSモードのみ対応) 専用形式はBBEエフェクト機能搭載。 IDタグなども全て日本語表示。 他社製品 MP3フォーマット形式サポートしておりません。 専用形式に変更しなければなりません、また音質はあんまりよくありません。 マルチメディアモード M3 完全マルチタスク対応。 音楽聴きながら、テキスト文書を閲覧したり、画像鑑賞したり、 またムービー鑑賞しながら同時に別の作業も出来ます。 タッチパネル操作でらくらく操作する事が可能。 他社製品 対応しておりません。 GBAミクロ本体対応状況 M3 全てのGBAミクロ本体対応しております。 他社製品 GBAミクロ本体にて動作しない可能性ございます。 SRAMバックアップ機能 M3 GBA・NDS両モード対応。 他社製品 NDSモードのみ対応。 ランダム書き込み中に電源オフしますとメディア破壊される可能性あります。 タッチパネルPDA機能 M3 NDSモード対応。 現在中国語版提供中 日本語版PDAソフトウェア近日公開予定! 他社製品 搭載しておりません。 攻略機能 M3 ○ GBA・NDS(DipStar使用)両モード対応。 他社製品 △ GBAモードのみ対応。 メモリカードへの安全性 M3 ○ M3はほとんどのCF/SDメモリカードを安全に読み書きサポートしております。 メモリカードへの破損の心配はありません。 また、正常の使用範囲内なら一年間のメーカー保証付き。 他社製品 △ CF/SDメモリカード読み書き行ってる最中にシステムフリーズまたは処理速度低下する状況発生するとメモリカードを破損する可能性があります。 破損されたメモリカードは二度と修復する事ができません。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18218.html
その唯の言葉に梓は何も返さなかった。 目にゴミでも入ったんだろうか。 そう思って心配になったけど、そうじゃないのはすぐに分かった。 梓が目を見開いていたからだ。 その様子を見る限り、風が吹いている間、目を瞑っていなかったらしい。 どうも唯が上手い具合に風除けになったおかげで、風圧に目を擦られずにすんだみたいだな。 「何……、これ……?」 大きな目を見開いたまま、呻くみたいに梓が呟き始める。 信じられないものを見たって感じの梓の表情。 その肩は小刻みに震えて、何かに怯えてるようだった。 何だよ? 梓は何を見たんだ? 風が吹いてる間に何があったってんだ? 言い様の無い不安感に駆られて、 私はまだ半開きの瞳で私達の周囲に視線を向ける。 だけど、これと言って気になる物は、私の目の中に飛び込んで来なかった。 いつもの私達の高校の通学路と何も変わってない。 そう見える。 じゃあ、梓は一体何を怯えて……? もう一度、私は大きく頭を振って、周りを見回す。 見落とした物を見逃さないように。 梓の不安の正体を掴むために。 大きく目を見開いて。 不安がどんどん膨らむのを必死に抑えて、精一杯その何かを探した。 でも、やっぱり気になる物は何一つ見つからなくて……、 私達以外には動いてる物は何も無くて……、私もやっと気付いた。 ちょっと待てよ……。 何だってんだよ……。 これは……、一体……! 「――――――ッ!」 思わず叫び出しそうになるのをどうにか堪える。 叫んじゃいけない。 叫んじゃ駄目なんだ。 叫んだ所でどうにもならないし、梓や皆を余計に不安にさせるだけだ。 でも、私には叫ばない事以外には何も出来そうもない。 誰かに救いを求めて、私は視線を彷徨わせる。 誰かこの状況を説明出来る奴は居ないのか……? 勿論、私達の中にそんな事が出来る人間が居るはずもなかった。 唐突に自分達と世界を襲った異変に、誰もが呆気に取られてしまっていた。 それ以外に何が出来るってんだ。 「人が……、車も……」 梓が怯えた表情を浮かべたまま、その場に座り込んで呟いた。 唯がその座り込む梓の肩を、心配そうに強く抱き締める。 唯自身も不安に満ち溢れた顔をしながら、 それでも怯える梓を身体中で包み込んでいた。 だけど、梓の震えは止まらなかった。 よっぽど衝撃的な物を見たんだろう。 そうだ、と思った。 梓は多分、一部始終を見れてたんだ。 駆け寄って、何が起こったのか梓に問い質したい気分だった。 梓なら風が吹いた瞬間に何が起こったかを知ってるはずだ。 でも、問い質す必要なんて無かった。 私達より数秒目を開いていた梓が知っている事なんて、たかが知れてる。 問い質したって、単に怯える梓をもっと追いつめちゃうだけだ。 それに私だって、世界に何が起こったのかは本当は分かってる。 いや、ひょっとして私達に何かが起こったのか? どっちにしても、とにかく異変の正体だけは一目瞭然だった。 その異変を信じられない。 信じたくないだけだ。 私は自分の手のひらが震えるのを感じながら、 どうにか意地だけでその手のひらを握り締めて、もう一度辺りを見渡した。 分かってはいた事だったけれど、当然何も無かった。 普段と変わらない町並み以外、消えてしまっていた。 一陣の風が吹いた瞬間、何もかもが私達の周囲から消失してしまっていたんだ。 十人くらい居たはずの通りすがりの人も。 騒音を上げて走っていたはずの車も。 さっき電信柱の裏で見掛けたはずの猫も。 空を飛んでいたはずの鳩も。 生きている物は何もかも。 そこに居た私達と、 耳に痛いくらいの無音の世界だけを残して。 梓が震えながら呆然とした表情を浮かべる。 唯が必死に不安と戦いながらその梓を抱き締める。 憂ちゃんが唯と梓の表情を交互に見ながら泣きそうな顔になる。 純ちゃんが憂ちゃんに駆け寄り、自分も震えながら憂ちゃんの肩を抱く。 何が起こったのか把握しようとしているのか、携帯電話を取り出して和が何かを確認している。 ムギが胸元で自分の手を握り締めながら、皆の様子を不安そうに見渡す。 澪が何も言わずに真っ青な顔で私の背中に抱き着く。 私は背中に抱き着く澪に、手を伸ばす事も何か声を掛ける事も出来ず、 身体の芯から湧き上がる震えを感じながら、呆然とその場に立ち竦む事しか出来なかった。 無音と一緒にこの世界に取り残された私達は、 湧き上がる不安を感じながらも突然の異変を受け容れるしかない。 この後、更に何が起こるのかも分からないままに。 これがあの夏休みの日……、 つまり三日前、世界……或いは私達に起こった異変の始まりだった。 ◎ 屋上の柵から、誰も居ない私達の町を見下ろす。 三日前から人も他の生き物も完全に消えてしまった私達の町。 静かな風と、風に靡く木々の音だけが響いてる。 一瞬、少しだけ強い風が吹いた。 心臓が大きく鼓動する。 物凄い不安を感じて、私は後ろを振り返った。 まだ屋上に居るはずのあいつの姿が、そこにあるか確かめたかったんだ。 振り返って見た屋上の中央付近、 さっきまでと変わらず、和が穏やかに微笑みながら首を傾げていた。 よかった……。 まだ和はこの世界に私と一緒に居る。 三日前、一陣の風と一緒に生き物がこの世界から消えて以来、 ちょっとでも強い風が吹く度に、私は自分の湧き上がる不安を抑えられなかった。 また風と一緒に誰かが……、 何かが消えてしまうんじゃないかと思えて仕方が無かったからだ。 この世界からまた何かが失われてしまうじゃないかって、 そう思えてしまって、それがすごく恐い。 いや、この世界……、と大袈裟に考えてみてはいるけど、 まだ私達はこの世界全体がどうなっているのか分からなかった。 あの日、一陣の風が吹いてから、テレビは映らないし、ラジオも流れてなかった。 インターネットにも当然繋がらなかったし、 どうにか自分達の目で確かめてみようとしても、 まともな交通機関無しじゃ、県外に出る事すら簡単に出来そうもない。 テレビやネットで世界の事はそれなりに知っているつもりだった。 結局、私達は他の物知りな誰かに教えてもらわなきゃ、 世界どころか県内の事すら、ほとんど何も知らないって事なんだろうな。 自分の身の程を思い知らされて、これまでの自分が滑稽に思えてしまう。 「どうしたのよ、律?」 知らず知らずの内に自嘲してしまっていたらしい。 和が少し心配そうな表情で私の顔を覗き込んでいた。 いかんいかん。 自己嫌悪なんかしてても、それで何かが解決するわけじゃない。 今はそんな事をやってる場合じゃないよな。 私は軽く自分の頬を叩いてから、和に向けて軽く微笑んだ。 「いや、何でもないぞ、和。 それより県内の地図だったよな? 今日こそしっかりメモって、忘れずに本屋に行ってくるよ。 この便利屋りっちゃんにお任せあれ」 「悪いわね、律。 毎度お使いなんかさせちゃって。 本当は私が自分で本屋に行くべきなんだけどね……」 「気にすんなって。 私の分担は肉体労働で、和の分担は頭脳労働だ。 適材適所ってやつだな。 その代わり和にはこの世界の謎を解き明かしてもらうから、頑張ってくれよ。 ……なんてな。 それは流石に冗談だ。 こんなわけ分からん状況、そう簡単に解決出来るかっての。 でも、その代わり、和には私達がこれからどうすればいいのかを考えてほしいって思う。 情けない話だけど、私の頭じゃこれからどうすりゃいいのか見当も付かないんだよな」 「それが普通だと思うわよ。 こんな状況、誰だってどうするべきなのか戸惑うと思うわ。 さっき律は私の分担が頭脳労働だって言ってくれたけど、でもね……」 珍しく、和が言葉を止める。 それから、さっきの私みたいな自嘲。 いつも自信満々ってわけじゃないけど、 自分に自信が無さそうな和を見るのは多分初めてだから、私はつい訊ねてしまっていた。 「でも……、何だ?」 「でも……、でもね……、そう。 私ね、頭脳労働が出来るから、しているわけじゃないのよ。 頭脳労働しか出来ないから、理屈付けないと恐いから、そうしてるだけなの。 怪奇現象を恐がる子が、オカルトに詳しくなるみたいなものかしら。 そういう子達はね……、 自分が受け容れたくない物を否定するために知識を得て、理屈をこねるの。 恐いから。分からない物が恐いから。 理論武装して、理解出来ない現実から逃避するために……。 私もそうなんじゃないかって……、こんな状況になって思うのよ」 これも多分、初めて聞く和の弱音。 いつも冷静に見える和だけど、やっぱり相当に参っているのかもしれない。 そりゃそうか。 しっかりした性格の和だって、まだ未成年の女子大生なんだから。 それに、特に和は……。 そう考えた私は和に訊ねていた。 訊ねるべき事じゃ無いかもしれないけど、訊ねておきたい事だった。 「なあ、和……。 やっぱり心配だよな、家族の事……」 「……ええ」 私の言葉に、和が素直に頷いた。 あんまり会った事はないけど、和には大切な家族が居る。 まだ小さくて手の掛かる、大切な兄弟が居るんだ。 心配じゃない方がおかしい。 私だって……。 この世界から人が消えてしまった事が恐いのは、 何も自分達が取り残されたからってだけが理由じゃない。 一陣の風と一緒に消えてしまった人達が、 一体どうなってしまったのか分からないのが一番恐いんだ。 さわちゃんや軽音部の新入部員の子達、 皆の家族や私の父さんや母さん、それに聡……。 皆、どうなってしまったんだろうか……。 この世界じゃない何処かの世界で過ごしてるんだろうか……。 聡は元気に笑ってるんだろうか……。 あまり手の掛からない出来た弟の聡ですら、こんなに心配なんだ。 幼さの残る兄弟を持つ和の心配は、私の想像も出来ないほど大きいに違いない。 本当は不安と恐怖で叫び出したいくらいだろう。 だから、和は精一杯頭を働かせて、その心配や不安や恐怖と戦ってるんだ。 私は和に歩み寄って、軽くその肩を叩いた。 今の私が和に出来る事は多くない。 私に出来る事は、そう、正直な気持ちを和に伝える事だけだ。 「でもさ、和。 和の冷静さが現実逃避から生まれたものでも、私達はそれに助けられてるよ。 特に一昨日の澪なんか、私じゃとても説得し切れなかった。 和が居てくれたおかげで、和が冷静だったおかげで、 あれだけ怯えてた澪も、とりあえずは落ち着けたんだよ。 だからさ、ありがとうな、和。 私の面倒臭くて大切な幼馴染みを助けてくれて」 「ありがとうだなんて……、そんな……」 言いながら、和が少し赤くなった。 ずっと張っていた緊張も、ほんの少しは解れてきたんだろうか。 ちょっとでも和の役に立てたんだとしたら、私も嬉しい。 私の言葉は和を落ち着かせるためのものでもあったけど、嘘は一つも言ってなかった。 私は本当に和に感謝してる。 和が居なければ、本当にどうなっていたか分からない。 あの一陣の風が吹いて一日経った一昨日、 澪は誰も居ない澪の家に長い間閉じこもっていた。 「パパやママが帰って来るのを家で待つ」 そう言って、私の言葉どころか誰の説得にも応じようとしなかった。 別に澪の行動が間違ってるわけじゃない。 自宅で澪が澪の両親を待ちたいと言うんなら、それも選択肢としてはありだと思う。 ひょっとすると、本当に澪の両親が帰って来る事もあるかもしれない。 途轍もなく低いけれど、その可能性はある。 でも、澪にその選択肢を選ばせるわけにはいかなかった。 こんな状況で、残された八人がバラバラに行動する事を避けた方がいいのは分かり切っていた。 大体、この世界に本当に誰も居ないのか分からないじゃないか。 勿論、それはいい意味じゃない。 悪い意味で、この世界には誰かが居るかもしれない。 それこそ私達を獲物としてるエイリアンみたいなやつが居てもおかしくないじゃないか。 馬鹿馬鹿しい話だけど、それすらも無いとは言い切れない。 突然飛ばされた閉鎖空間の中で、 平凡な主人公は謎の化物と戦う事になる……、 なんて陳腐な話だけど、それだけにありえるかもしれないしな。 大体、一人で部屋に閉じこもるなんて、死亡フラグ以外の何物でもない。 閉じこもる本人は気にならないかもしれないけど、 周りの人間にしてみりゃ、心配で気が気で無くなるよ。 だからこそ、私達は澪を一人きりにさせるわけにはいかなかった。 でも、その澪を説得する事は、私には無理だった。 考えてみれば、私と澪は傍に居過ぎたせいか、 自分の我儘の貫き通し方を分かってしまってる所があるのかもしれない。 お互いを分かり過ぎてしまってるせいで、 私と澪の会話は平行線を辿る事しか出来なかったんだ。 その点、和は澪の説得の仕方をよく知っていた。 唯と憂ちゃんのお姉ちゃん的存在で、 実際にもお姉ちゃんの和には、我儘を言う子との付き合い方が分かってるみたいだった。 和は無理に澪を説得しようとせずに、 玄関の扉越しにたまに澪に穏やかに話し掛けていた。 修学旅行で京都に行った時の話をしたり、 小さい頃の私と澪について訊ねてみていたり、 一見すると説得とは関係無さそうな話をしていたけれど、 それも澪への静かな説得だったのかもしれない。 結局、二時間くらい閉じこもった後、 澪はとても申し訳なさそうな表情を浮かべて玄関を開いて姿を現した。 久々に顔を見せた澪を和は責めようとはせずに、 ただ澪の手を引いて、澪と一緒に私達に頭を下げて謝ってくれた。 「真似出来ないよなあ……」 意識せずに私は呟いてしまっていた。 私もお姉ちゃんではあるけど、とても和みたいには出来そうもない。 それが和の自分が冷静になるための現実逃避の産物だとしても、 私達はそれに助けられていて、そんな和に感謝する事しか出来ない。 和が私達を支えてくれている事。 こんな状況でも、それだけは本気で不幸中の幸いだと思う。 いや、こんな状況じゃになるよりもずっと先に、私はもっと和に感謝するべきだったんだろう。 本当にありがとうな、和。 「どうかしたの、律?」 ほんの少し私の呟きが聞こえていたらしい。 和が首を傾げ、まっすぐな瞳で私に訊ねる。 私は「何でもないって」と言ってから、和の肩に置いていた手を離した。 私には和の真似は出来ない。 そもそも私と和じゃ性格が違い過ぎるしな。 無理に和の真似をしようとしたって、問題が余計にこじれるだけだろう。 なら、私は自分自身の力とやり方で皆を支えなきゃいけない。 それが私に出来るんだろうか? まだ、それは分からない。 「あ、ちょっと、律……」 不意に和が呟いて私に向けて手を伸ばしてきた。 何だろう、と私はちょっと緊張する。 和が誰かに触ろうとするなんて滅多に無い事だから、心配にもなってくるくらいだ。 身体を硬直させて和の行動を待っていると、 和は軽く私の頭のカチューシャに手を触れて、その位置を微調整してくれた。 「カチューシャ、ずれてたわよ。 今日は気分で位置を変えてたんなら、悪い事をしちゃったかもしれないけどね」 予想外の和の行動に私は軽く呆気に取られる。 まさか和が私の身嗜みに気を遣ってくれるなんてな……。 そういや、今まで和が私の身嗜みについて注意した事なんて、ほとんど無い。 前にメイド服を着た時に「大体、その格好は何よ?」って叱られたくらいだっけか? あれはお約束的に私が書類を出し忘れてたから、ってのもあるけど……。 でも、そういう規律に注意を払える和が、どうして今まで私の身嗜みを注意しなかったんだろう。 ……あ、そっか。 私もあんまりきちんとした服装をしてるわけじゃないけど、 私にはギリギリ最低のラインの身嗜みをするよう注意してくれてた奴が居たんだったな……。 いつも何故か隣に居てくれた、私自身も隣に居たかった幼馴染みのあいつが……。 一昨日から、閉じこもってた澪を連れて、私達は残された皆で桜高に集まっている。 集まるのは別に誰かの家でもよかったんだけど、 八人で住めるほど広い家の奴は居なかったから、学校がちょうどいいと思ったんだ。 いや、ムギの家なら八人くらい楽勝なんだろうけどさ、 家の人が誰も居ないとしても、友達の家にお世話になるのはやっぱり抵抗がある。 それにムギの家は結構遠い。ああ見えてムギって電車通学なんだもんな。 電車も動いてない今の状況じゃ、正直かなり遠いよ。 だから、私達は今、学校に集まって住んでいるわけだ。 今後どうなるかは分からないけど、 一時的に集まるには慣れ親しんだ場所が一番のはずだった。 3
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18219.html
学校に住み始めてから二日、私はまだ澪と一言も話していない。 話したくないわけじゃない。 本当はすごく話したい。 胸の中の不安な気持ちを、澪にだけは打ち明けたい。 そんな考えはずっとあった。 でも、澪の方から話し掛けてこなかったし、 私の方も自分から話し掛けようとはしなかった。 何を言えばいいのか分からなかったし、何かを言った所で、 澪を余計に不安にさせる言葉しか出てきそうになかったから、話し掛けるのが恐かったんだと思う。 澪も自分が閉じこもってしまってた事を負い目に思ってるのか、 まだ誰かと明るい調子で会話出来てはいないみたいだった。 出来る限り早く、また澪に笑顔で話し掛けたいと思う。 でも、今は駄目なんだ。 まだ私も澪も今の状況に関して、自分なりの答えを出せてない。 私達がもう一度笑顔で話し合えるには、もう少し時間が必要だった。 澪の事は不安だけど、多分、大丈夫だと思う。 私が澪に話し掛けにくい事を分かっているのか、 今は代わりに唯とムギが積極的に澪と会話をしてくれている。 遠くから見てる限りじゃ、たまに澪の顔から笑みが漏れる事もあるみたいだった。 だから、きっと大丈夫。 後は私がこの世界の異変と向き合って、それに関しての答えを見つけるだけだ。 「いや、別に気分で位置を変えてたわけじゃないから助かったよ、和。 気付いてくれて、どうもサンキュな」 少し微笑んで、私はカチューシャの位置を治してくれた和にお礼を言った。 もしかしたら和が屋上に私を探しに来たのは、 地図の事を私に頼むためだけじゃなくて、私の事を心配してくれたからかもしれない。 それにまさか和が私のカチューシャの位置を覚えてくれてたなんてな。 私が思うより、和は私の事を見てくれてるみたいだ。 「どういたしまして」 和が小さく微笑む。 とても素敵な笑顔だと思った。 お姉ちゃん……、いや、お母さんかな。 本当に和はこんな状況でも私達を引っ張ってくれる、頼り甲斐のあるお母さんだ。 和には遠く及ばないにしても、私も皆を支えられるお父さんみたいになれたらいいな。 ……ん? いやいや、変な意味じゃないぞ。 私がお父さんで和がお母さんってのは、あくまでも例えだからな。 誰に言い訳してるのかは自分でも分からんが、とにかく変な意味じゃないぞ。 馬鹿な事を考えちゃったせいか、何だか顔が熱くなってきた。 私は頭を振ってから、和に気になっていた事を訊ねてみる事にした。 あんまり触れたい話題でもなかったけど、触れないわけにもいかない事だった。 今後、澪と笑顔で話すためにも。皆と笑顔で話せるためにも。 「そういやさ、和……。 和は結局、世界に何が起こったんだと思う?」 「またそれは突然ね、律。 でも、話題にしないわけにもいかない事でもあるわよね……」 「ごめんな、和。確かに突然だったかもな。 でも、やっぱり気になって……さ。 自分で言うのも変だけど、そんなによくない私の頭じゃ全然見当も付かないんだよ。 勿論、和にだって分からない事だってのは知ってるけど、 だけど、和の事だからいくつか推論くらいは出来てるんだろ? よかったらそれを教えてくれないか? ……あ、いちいち注文を付けて悪いけど、私の頭で分かる範囲内でさ」 私が人差し指を立てて念を押すと、和が普段より大きく笑った。 こんな時なのにそんな事を気にする私が滑稽だったのかもしれない。 でも、それでよかったんだと思うし、和もそれで納得してくれたみたいだった。 和はしばらく笑った後に頷いて、 「私にもほとんど何も分かってないけど」と前置きしてから始めた。 「まず私が考えたのはパラレルワールドの存在ね。 私達の世界とは別の可能性の並行世界。 いくら律でもパラレルワールドくらいは知ってるでしょ?」 「知っとるわい! ……一応な。 パラレルワールドってのは、この世界とは違う別の世界の事だろ? 剣と魔法の世界とか、科学技術がSF並みに発展した世界とか、スチームパンクの世界とか」 「何故かスチームパンクは知ってるのね……。 まあ、大体律の言った事で正解なんだけど、そこまで大袈裟に考えなくてもいいのよ。 私の言いたいのはもっとほんの些細な違いのパラレルワールドの事。 この世界ではそれがAなのに、 別世界ではそれに値するのがBだったってだけの些細な違いの世界。 そうね……。 例えば私の幼馴染みが唯じゃなくて澪で、 律の幼馴染みが澪じゃなくて私だった世界って考えれば分かりやすいかしら」 また変な例を出すな……。 でも、確かに分かりやすいか。 要は世界感そのものじゃなくて、 ほんのちょっとだけ今とは違う世界だと考えればいいわけだ。 ちょっと想像してみる。 そうだな……。 私と唯、それに和は誰が幼馴染みでもそうは変わってないはずだけど、 澪の幼馴染みが唯となると、澪は相当今とは変わってたんじゃないだろうか。 前にうちの母さんと澪のママの会話を、たまたま立ち聞きした事がある。 澪のママがうちの母さんに言うには、 澪は私と遊ぶようになってからかなり変わったんだそうだ。 内気で人見知りな性格だから学校で上手くやっていけるか心配だったけど、 私の口調や仕種を真似するようになって、少しずつ活発な性格に変わって安心したんだとか。 うちの母さんは「がさつな娘でごめんなさい」とか笑いながら言ってたが。 ……がさつで悪かったな。 でも、澪のママの言う事は正しかった。 確かに澪は私と遊ぶようになってから、かなり元気で活発になった気がする。 口調も私の特訓で男っぽい口調になったし、いつの間にか平気で私を殴るようになったしな。 良かったんだか、悪かったんだか。 つまり、私と会わなきゃ、澪は今とは全然違う性格になっていたのは間違いない。 とは言っても、あの頃の内気な性格のまま育つとも思えない。 何せあの唯が幼馴染みなんだからな。 性格がどう転ぶのかは分からないけど、 少なくとも口調くらいは唯に影響されるんじゃないだろうか。 そうなると、こうなるのか? (使用前) 「おい、律、ちゃんとドラムの練習しろよ。 リズム隊はリズムが命なんだからな。 それとテスト勉強も忘れるなよ。 今度泣き付いてきても、勉強見てやらないからな!」 ↓ (使用後) 「ねえねえ、りっちゃん、ちゃんとドラムの練習しようよー。 リズム隊はリズムを大切にしなきゃ。リズムが命で魂なんだよ。 あとテスト勉強も忘れないでね。 次にりっちゃんにお願いされたって、もう勉強見てあげないんだからね!」 おわっ、気持ち悪っ! 思わず鳥肌が立ったぜ……。 やっぱり澪は今の澪のままが落ち着くな……。 でも、よく考えたら、私が居なきゃ澪は音楽を始めなかったかもな。 そうなると澪の幼馴染みの唯もギターを弾く事がなかったわけで、 私も一人じゃ軽音部を作ろうとしてたかどうか分からない。 和は私が誘ってもバンドやってくれそうにないから、 私は仕方なくマキちゃんのラブクライシスに入れてもらって……、 あ、でもマキちゃんはドラムか。 となると、私は他のパートを担当する事になって、 そんでもって、軽音部自体設立されないから、ムギはそのまま合唱部に……。 ……頭がこんがらがってきた。 まあ、とにかくそれは全部もしもの話だ。 つまり、和は生き物が誰も居ないパラレルワールドに、私達が迷い込んだと言いたいわけだろう。 私は真剣な表情になって、神妙に和にそれを訊ねてみる。 「私達は生き物の居ない世界に迷い込んだ。 事実かどうかはともかく、少なくとも和はそう考えてるんだな……」 「いいえ、逆よ。 パラレルワールドだけはないって考えてるわ」 「うおーいっ!!」 学校の屋上に私の突っ込みが響く。 何だったんだよ、今までの前振りは……。 からかわれたのかと一瞬思ったが、和の表情を見る限りそうでもなさそうだ。 大体、和はあんまり冗談を言うタイプじゃないし、特に今は真面目な話をしている時だ。 ちなみに私の突っ込みについては熱くスルーされてるし。 そういえば和は最初に「まず私が考えたのはパラレルワールドの存在ね」と言っていた。 「まず考えたのは」って言ってたんだ。 その言葉通り、和は自分が「まず考えた」事から話し始めたって事なんだろうな。 妙な所で言葉通りなのが、和らしいと言うか何と言うか……。 私はちょっと溜息を吐いてから、 和が今の状況はパラレルワールドが原因じゃないと考える理由について訊ねてみる。 すると、優等生らしい理論的で、 でも、私にも分かりやすい丁寧な説明を始めてくれた。 「パラレルワールドの存在自体は否定しないわ。 シュレディンガーの猫理論、エヴェレットの多世界解釈、 量子宇宙論に二重スリット実験……、並行世界については様々な議論がされてきたわけだし。 実際に存在するかはともかくとしても、 パラレルワールドがあってもおかしくないって私は思っているのよ。 それこそムギと梓ちゃんが幼馴染みとして育った世界だってあるかもしれないわ。 でもね……、それとこの状況は無関係だと思うのよ。 他のあらゆる可能性があったとしても、パラレルワールドだけは違うって思えるのよ」 「どうしてだよ? 生き物が居ないパラレルワールドだってありそうなもんだけど……」 「ええ、生き物の居ないパラレルワールド自体はあると思うわ。 可能性は無限なんだから、そういう世界があってもおかしくないはずよね。 でも、よく考えて、律。 本当に生き物が居ない世界なら……、この桜高は誰が建造したのかしら?」 あっ、と思わず私は声を出していた。 そうだ。完全に和の言う通りだ。 本当に存在するかどうかはともかくとして、パラレルワールドは無限の可能性がある。 でも、パラレルワールドだからと言って、何もかも自由に考えていいわけじゃない。 パラレルワールドにも私達の世界と同じようにルールが存在しなきゃおかしいんだ。 「そりゃそうだよな……。 パラレルワールドには無限の可能性があるって言っても、 人も生き物も居ないのに、建物だけがそのままある世界なんてそりゃ変だよ。 よくよく考えてみりゃ、この世界には学校だけじゃなくて、町も私達の家もあるんだし。 誰がこの町を作ったんだ。誰がこの町に住んでたんだって話だよな」 「そういう事よ。 だから、私は今の状況とパラレルワールドを繋げるのだけは違うと思うの。 たった一つだけ考えられなくもない可能性はあるけど、そう考えるのも変だと思うし……」 和はその可能性については少し口ごもった。 その顔にはひどく不安そうな表情を浮かべてる。 パラレルワールドとかそういう事じゃなくて、 考えなきゃいけない最悪の事態を考えてるって感じだった。 不安そうに……、辛そうに……、でも、和は毅然とした声で続ける。 「この世界とパラレルワールドを繋げて考えられるたった一つの可能性……。 それはこの世界の生き物がラグナロクとか、ハルマゲドンとか、終末とか、 とにかくそれに値する滅びを迎えた後に、私達がこの世界に迷い込んだって可能性よ。 それならこの生き物の居ない世界が、パラレルワールドであってもおかしくはないわよね? でもね……、そう考えるくらいだったら、 パラレルワールドと無理に繋げて考えるよりも、そもそも私達の世界が……」 私は和の肩に手を置いてそれ以上の言葉を止める。 和が無理に話さなくても、私にももう分かった。 確かにそう考えた方が自然だった。 無理にパラレルワールドと繋げる必要なんてない。 ここは本当は私達の世界じゃないって考える方が気が楽だけど、 ここが本当に私達の世界だって可能性の方がずっと高いんだよな。 つまり、パラレルワールドじゃなくて、 私達の世界の方の生き物が滅んじゃって、私達だけが取り残されたんだって可能性の方が……。 いちいち私達がパラレルワールドに迷い込んだって考えるよりは、その方がずっと自然だ。 私達の世界は終わってしまったんだろうか? 全部滅びるはずだったのに、何かの間違いで私達だけが生き残って、取り残されちゃったのか? 他の皆は一人残らず死んでしまったってのか? 父さんも、母さんも、聡も、さわちゃんも、大学の皆も、新入部員の子達も……。 背中に嫌な汗が流れるのを感じた。 夏の熱気に晒されてるからってだけじゃない。 暑いはずなのに寒気まで感じてくる。 もし本当に私達の世界が終わってるんだとしたら、私達はどうしたらいいんだろう……。 「律」 不意に和が私の右頬に手を置いた。 私は不安を隠し切れない視線をどうにか和に向ける。 和だって不安なはずなのに、私の視線の先の和は軽く微笑んでいた。 微笑みながら、柔らかい声で囁いてくれる。 「ごめんね、律。 不安にさせちゃったわよね……。 でも、可能性の話よ。あくまで可能性の一つなのよ。 まだ情報が全然足りてない状況で、考えられる可能性がそれってだけの話。 勿論、私には想像も出来ない理由で、皆が消えちゃったのかもしれないわ」 優しい声色の和の言葉に、騒いでいた私の心臓は落ち着いていく。 強い和、優しい和、頼れる和……。 私はそんな和に頼り切ってしまっている。 このままじゃいけないのかもしれないけど、今だけはちょっと浸らせてほしい。 せめて、もう少し深呼吸出来るまでは……。 三回、深呼吸。 胸を落ち着かせる。 その間、和は待ってくれていた。 もう大丈夫……、のはずだ。 かなり無理矢理ではあったけど、私はどうにか笑顔を作って和に向けた。 「こっちこそごめんな、和。 自分から訊ねておいて、話が嫌な展開になったら恐がるなんて自分勝手過ぎるよな。 漫画やゲームでそういう奴たまに見るけど、傍から見てたら苛々するもんな……。 だから、こっちこそ悪かったよ、和」 和は私の左頬にも手を置いて、「いいのよ」と言ってくれた。 それからすぐに両手を離して、眼鏡を掛け直しながら笑う。 私ももう少しだけ自然な笑顔を浮かべられる。 多分、お互いの事を考え合って、お互いを安心させるために笑ってる。 屋上で笑顔を向け合う二人……。 まさか和とそんな関係になれるなんて、初めて会った時には想像もしてなかった。 唯の友達にしては真面目そうな子だな、ってのが初対面の時の印象だったしな。 言葉は悪いけど、気は合わないだろうな、って思ってた。 和が悪いわけじゃないけど、私の性格とはどうも合いそうにない気がしたんだ。 それで二年の頃、澪と仲良く出来てる和が悔しかったんだと思う。 私と全然違うのに、私とは正反対な性格なのに、澪と和は仲が良い。 幼馴染みなのに、澪はもう私には飽きちゃったのか。 私の事なんてもうどうでもいいのか。 そう思えて、悔しかった。 でも、そうじゃなかったんだよな。 和は優しくて頼りになる子だから、澪と友達になるのは自然な事だ。 でも、澪に友達が出来るのは嬉しいけど、同時に不安だった。 澪は中学まで私以外の友達が少なかったし、 その友達もほとんどが私のよく知る子だったから、 私が居ない所で澪に友達付き合いがあるって事が初体験だったんだ。 だから、不安だったんだと思う。 我ながら子供っぽくて恥ずかしいけどさ。 だけど、和はそんな私も澪と一緒に受け容れてくれた。 幼馴染みの唯のためにって所も多いんだろうけど、軽音部のために色んな手助けもしてくれた。 和にとっては、私も澪も唯と同じく手の掛かる妹の様なもんなのかもしれないな。 そんな和と仲良くなれて、私は嬉しいと思う。 勿論、そんな事を面と向かって言えるはずもない。 私は頬を掻きながら、照れ隠しのために違う話を和に振った。 「そういや、可能性の一つ……って事は、 和は他にもまだまだこの状況の原因を考えてるんだろ? あんまり物騒な話だとノーサンキューだけど、よかったら教えてくれるか?」 「律も元気よね……。まあ、いいわ。 そうね……。 勿論、全部荒唐無稽な夢物語として聞いてほしいんだけど、 次に考えたのは、私達が私達オリジナル本人じゃないって可能性よ。 私達はオリジナルの人格を移植された人工生命で、この町も精巧に出来た偽物。 何らかの実験で偽物の私達は偽物の町に放たれた。 それなら私達以外に誰も存在しなくても問題無い。 ……というのは、どうかしら?」 「あー……、よくあるよな、それ。 国民を意のままに操るための政府の何かの陰謀って感じのやつ。 そんな事しても、絶対に元が取れないと思うけどな。 偽物って話になるとさ、私はここが電脳世界って可能性も考えたな。 よく出来たネットゲームってやつ。私はネットとかよく知らないんだけどさ」 「それもよく聞く話ね。 いくつか小説や映画で目にした事があるわ。 まさかあのホラー小説の続編が、そういう話になるとは思わなかったけどね。 まあ、パソコン通信は最近では一般常識になってきてるし、 バーチャルリアリティの進化も驚く物があるから、そういう話もありえなくはないわよね」 「パソコン通信とバーチャルリアリティって言い方は古いぞ、和。 お母さんっつか、おばあちゃんかよ」 「そうかしら?」 和がとぼけた様に微笑み、私も合わせて苦笑した。 和の言葉が古かったからってだけじゃなく、お互いに感じ始めてきたからだと思う。 結局、こんな推論に不安がる理由は無いって事に。 4
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18220.html
「何かさ、不毛って気がしてきた」 私はつい口にしてしまう。 気を悪くするかと思ったけど、和は微笑んだままで私の言葉に頷いてくれた。 「やっぱり情報が足りなさ過ぎるわよね。 情報不足でいくら推論を組み立てたって、真相に辿り着けるはずも無いわ。 昨日、律が資料を集めてきてくれなかったかしら?」 「すみません、真鍋生徒会長」 「それは冗談としても、とにかく推論は推論のままにしておくべきでしょうね。 可能性を論じる事は無駄じゃないけど、それに囚われ過ぎるのは無駄だと思う。 それに今はこの状況の原因より、これからどうするかの方が大切よ」 和らしからぬ発言だと思った。 何でも原因を確かめてから、その後に対策を立てるのが和の性格だと思ってたからだ。 首を傾げながら私がそれを訊ねると、和はまた軽く笑った。 「時と場合によるわよ。 情報が足りないわけだし、何にせよ、今はこの状況に適応するのが第一よ。 いずれは真相を明らかにしたくはあるけど、 真相を知った所でどうしようもない事もあるじゃない。 この状況に適応出来てない内にそんな真相に辿り着いてしまったら、 少なくとも私も冷静でいられる自信は全く無いわ」 「恐い事をさらりと言うよな、和も。 勿論、考えておかなきゃいけない事だと思うんだけどさ……。 でも、知った所でどうしようもない真相ってのは、例えばどんなのなんだ?」 「勿論、これも可能性なんだけど、こういうのはどうかしら? 私達はもう死んでいて、この世界は三途の川みたいな世界。 この世界は生前の罪や穢れや煩悩なんかを洗い流すための禊ぎの空間なのよ。 この世界での生活が何らかの形で終わった時、 私達は一つの生をやっと終えて、新しい輪廻の円環に至る……とか」 「うわっ……。 そりゃ確かに縁起でもないし、どうしようもないな……」 私が呟くと、「勿論、可能性よ」と和は付け足した。 可能性なのは私も分かってるけど、 その可能性が間違っていないとも言い切れない。 それは頭の片隅ででも、考えておかなきゃいけない事なんだ。 でも、まあ、今はまだいいだろう。 まずは和の指摘通り、私達がこれからここでどうやって生きていくかを考えるべきだ。 その答えは私にはまだ出せそうもないけど、 和に考えてもらいながら、少しずつ話し合っていければいいと思う。 にしても……。 私は感心して和に声を掛けていた。 「色んな可能性を考えるよなあ、和も。 流石は頭脳労働担当ってか?」 「律達に動いてもらってる分、色々と考えておかないと申し訳ないもの。 それが私に出来る事だものね。 でも、出来ればたまにでいいから律達にも考えてほしいわ。 私の頭は固い方だって自分でも思うのよ。 試験とかの決まり切った答えなら出せるけど、柔軟な発想じゃ唯達にはとても敵わないから」 「唯の発想と比べたら、誰の脳味噌も筋肉みたいなもんだと思うけどな……」 「それでも、よ。 唯ほどでないにしても、律も私には思いも寄らない発想をしてるもの。 そして、その発想を実践する行動力もある。 唯も発想力はすごいんだけど、突拍子が無さ過ぎて実践出来ない事があるものね。 だからね……、本当に頼りにしてるわ、律」 なるほど……。 和が私を頼りにしてるのは本当らしい。 その期待に応えられるかは分からないけど、出来る限り応えたいな。 私は親指を立ててウインクをして言ってみせる。 ウインクは苦手だけど、それは放置の方向で。 「頼りにされついでに、一つ私の推論を和にお聞かせしようじゃないか。 そうだな……、この世界から生き物が消えたのは火星人の仕業ってのはどうだ? UFOで皆をキャトってったんだよ」 「キャトってって……、キャトルミューティレーション? キャトルミューティレーションは家畜の事を指すから、 正確にはヒューマンミューティレーションになるわね……。 その可能性も無いとは言い切れないけど、 実際に火星人の仕業だったら律はどうする気なのよ? UFOを見つけ出して殴り込みでも掛けるわけかしら?」 「モチのロンよ! 私達の戦力では無理なんて心配はノープロブレム! 私達には音楽があるからな! 音楽で殴り込むぜいっ! 知ってるか、和? 火星人は音楽を聞くと頭が爆発して死ぬんだぜ?」 「あったわね、そんな映画……。 あ、でも、唯達はいいとしても、律とムギはどうするのよ。 ムギはキーボードを首から掛ければどうにか移動も出来るだろうけど、 律の方は流石にドラムを自由に持ち運ぶのは、やっぱり無理なんじゃないかしら」 「それもノープロブレム! ドラムを身体中に巻き付け、背中に背負って移動してやるからな!」 「何、その雷様……」 ◎ 時間は少しだけ前の話になる。 真夏の朝、私が一人で屋上を訪れていたのには、深いようで浅い理由があった。 そもそも自分でも真夏に屋上で佇むなんて、 風流どころか熱中症を心配したくなるけど、何故だかあまり暑さは感じなかった。 暑いはずなのに、暑さをあんまり感じないんだよな。 それは精神的な問題なんだろうか。 それとも本当に体感温度が下がってるのか? そういや、ヒートアイランド現象って言うんだっけ? クーラーやら何やらの排気熱のせいで、都市全体の温度が上がっちゃう現象の名前って。 今の状況、少なくともこの町では誰一人クーラーを使ってないはずだ。 私達も含めて、だ。 人が消えてから、ほとんどの電化製品は全く動かなくなった。 難しい話じゃなくて、単純に町全体に電気が通ってないだけだ。 だから、使いたくてもクーラーなんて使えないんだよな。 そういう意味で町全体の温度が下がっちゃった……、ってのはあるのかな? まあ、どっちでもいいか。 とにかく、電気が通ってないわけだから、電灯だって点かない。 そのせいもあって、何と私達は昨日は午後の九時に消灯……、じゃないや、就寝した。 九時だぞ、九時。 健全な女子大生が眠っていい時間じゃないよな。 でも、電灯が点かないんじゃ、 テレビゲームどころかボードゲームも出来なかった。 自宅や学校から集めてきた蝋燭を無駄遣いするわけにもいかない。 電池で動く電化製品は動くみたいだけど、 電池を消耗させてまで遊ぶ気力も度胸も残ってなかった。 結局、私達はそれぞれに寝る事しか出来なかったわけだ。 ちなみに全員がまとまって寝るのも手狭だろうって事で、 ひとまずの間だけど、私達は二つのグループに分かれて眠る事になった。 生徒会室で眠る事になったグループが私、和、梓、純ちゃん。 軽音部の部室で眠る事になったグループが唯、憂ちゃん、ムギ、それに澪だ。 勿論……、って言うのも変な話だけど、 私と澪が違うグループになった事は、梓と純ちゃんに心配された。 特に純ちゃんが必死な表情で、私を説得しようとしていた。 「澪先輩と一緒じゃなくていいんですか? よければ私が澪先輩と変わりますよ!」 って、そう申し出てくれた。 それだけ私達がいつも一緒に居るって思われてるんだろう。 一緒に居なきゃいけないんだって。 それはとても嬉しかった。 純ちゃんは本当に優しい子だ。梓と親友なのも納得出来るよ。 私はそんな純ちゃんに感謝しながら……、でも、ちょっと卑怯な事を言った。 「別に澪と一緒じゃなくても大丈夫だよ。 それとも、純ちゃんは私と一緒のグループが嫌なのか?」 我ながら卑怯な言い方だったと思う。 そんな事を言ったら、純ちゃんの方が引き下がるしかないって分かり切ってるのにさ。 予想通り、純ちゃんは「そんな事ないですけど……」と残念そうに引き下がってくれた。 気を遣ってもらいながら、純ちゃんには本当に悪い事をしちゃったと思う。 でも、今はまだ、面と向かって澪と話せそうになかった。 家に閉じこもろうとした澪の事を怒ってるわけじゃない。 澪の気持ちはよく分かるし、出来る事なら支えてやりたい。 だけど、澪に掛けられる言葉が見つからないんだ。 何を言っても、わざとらしい気休めになっちゃいそうな気がしてる。 私が澪に掛けたい言葉はそんな気休めなんかじゃない。 いや……、ひょっとしたら、気休めでもいいのかもしれなかった。 気休めでも何でも、とにかく澪に言葉を掛けるべきなのかもしれない。 少しずつ言葉を掛けていく内に、 本当に言いたかった言葉が見つかるものなのかもしれない。 頭では分かってるつもりだ。 それでも、身体と……、心が動き出せないんだ。 頭の中で見つけた言葉を喋ろうと口を開いても、 うるさく響く心臓の鼓動が、一瞬で私の言葉を消して口を閉じさせる。 恐いんだと思う。 澪を失うのが恐いんだ。 澪だけじゃない。 唯も、梓も、ムギも、和も、憂ちゃんも、純ちゃんも……。 皆を失うのが恐くてどうしようもない。 当然だけど、誰かを失うのはいつだって恐い。 大切な人達を失くしたくない。 こんな状況じゃなくたって、恐いに決まってる。 でも、今の世界がこんな状況だから、余計に私は動き出せなくなってる。 下手な事を言ってしまって、もしも誰かから少しでも拒絶されてしまったら……。 私はそれに耐えられる自信が全然無い。 今だって不安を必死に押し殺してるのに、 これ以上誰かを失ってしまうなんて、考えただけで身体が震えるのを感じる。 世界に私達以外誰も居ないこの状況。 こんな状況で仲間を失ってしまったら、その先にあるのは完全な孤独だけじゃないか。 馬鹿みたいだって自分でも思う。 『完全な孤独』だなんて、思春期の中学生かよ……。 私はもう大学生なんだぞ? 自分が誰からも愛されてるって考える事と同じくらい、 自分が誰からも拒絶されてるって考える事は馬鹿な事だって知ってる年頃だろ? そう思うのに、やっぱり動き出せない自分はまだ本当に子供だ。 少しは成長出来たつもりだったのに、本当に私はまだまだだ。 高校三年間、どうにか軽音部の部長をやり遂げられたと思ってたのにな……。 そんな事を考えてたせいだろう。 休みの日はかなり寝入っちゃう私なのに、今朝に限って早く目が覚めた。 寝袋の中から身体を引きずり出して、 家から持ってきた目覚まし時計に目を向けると、まだ六時にもなっていなかった。 勿論、早寝のせいもあるんだろうけど、 こんな早い時間に目を覚ますなんて滅多にない事だ。 周りを見回してみると、和と梓はまだ眠っていた。 和と梓は静かな寝息を規則正しく立てている。 でも、梓の隣の布団で寝ていたはずの純ちゃんの姿が無かった。 布団だけ残して、純ちゃんの姿は影も形も見当たらない。 部室の方にでも行ったんだろうか? 私もちょっと校内を散歩しようかな……? そう思いながら、生徒会室の扉を開いてみて……、私は息を呑んだ。 廊下、生徒会室から少し離れた場所に、純ちゃんの変わり果てた姿が転がっていたからだ。 昨晩、一緒に寝ていた時とは、明らかに違っている純ちゃんのその姿……。 髪型は無惨に乱れ、可愛いデザインのパジャマも見る影もなく……。 「純ちゃん……!」 小さく叫んで、私は廊下に転がる純ちゃんに駆け寄る。 駆け寄りながら、多くの事を一瞬で考える。 一体、何だってんだよっ? 誰も居ないはずのこの世界に、エイリアンみたいな奴でも居たってのか? エイリアンが純ちゃんを襲ったってのか? この世界から人を消したのもそいつ……? もしかすると、そいつは私達を一人ずつ狩るために世界をこんな風に……? 今もそいつは何処かで私達を監視して……? ああ、もう、とにかく! 今は純ちゃんだ! 私は仰向けに転がる純ちゃんの頭を抱え、自分の胸元に引き寄せる。 純ちゃんの肌は暖かかった。 でも、暖かいからって、安心出来るわけでもない。 喉から心臓が出そうなほどに緊張し、自分の手が痙攣しているのを感じる。 それでも、私はそれを必死に耐えて、 昨晩とは全く違ってる姿……、 パジャマも纏わず下着だけの姿になってる純ちゃんの異常を探る。 下着だけの姿とは言っても、 寝る前はパジャマだったわけだから、当然ブラジャーも着けてない。 そんなパンツしか履いていない姿の女子高生が、 学校の廊下に転がってるだなんて、そんなのただ事であるはずがないじゃないか。 「純ちゃん……! どうしたんだ、純ちゃん……!」 頭を揺さぶりながら、目を皿のようにして純ちゃんの全身を見渡す。 純ちゃんの裸を見るのは初めてだが、そんな事を言ってる場合でもなかった。 一見した限りじゃ外傷は無さそうだけど、 人は外傷が無くても死んじゃう事だってあるんだ。 もしも純ちゃんに何かあったとしたら、それは年上の私の責任だ。 そうだとしたら、後悔してもし切れない。 無事でいてくれ、純ちゃん……! 不意に。 私の後ろからとぼけた様子の声が響いた。 「あーあ、純ったら……。 あれだけ気を付けてって言ったのに……」 驚いて、私は声の方向に振り返る。 そこには寝ぼけ眼の梓が、呆けた様子で立っていた。 その梓の表情からは、驚いた様子は一切見受けられなかった。 何だよ……。 何を言ってるんだよ、梓は……。 「気を付けて」ってのは何の話なんだ? 梓は何を知ってるってんだ? 学校の中でエイリアンが歩き回ってる事を知ってたってのか? 「律先輩の声で目が覚めちゃいました……。 何があったのかと思ったら……、純のせいだったんですね……。 大丈夫ですよ、律先輩……。すぐ慣れますから……」 梓が何の感動も無く、淡々と言葉を続ける。 背筋が凍る気がした。 こんな異常事態に冷静でいられる梓の事が、心底恐ろしくなってくる。 慣れるってのはどういう事なんだよ。 また何度もこういう事が起こるって言いたいのか? それとも、梓はこういう事を何度も経験してきたってのか? 私は喉から声を絞り出して、 震える身体を抑えながら、掠れた声でどうにか梓に言った。 「大丈夫ってのは何なんだよ、梓……。 こんなのただ事じゃないだろ……。 だって、純ちゃんが……、純ちゃんが……!」 「確かにただ事じゃないですよね……。 純のこの寝相の悪さ……」 「寝相かよ!」 早朝の学校全体を震わせるくらいの声で、私は絶叫した。 朝も早くから申し訳ないが、絶叫せずにはいられなかった。 寝相って何やねん! その私の声で意識がはっきりしたのか、大きな目を見開いた梓が困った様子で囁いた。 「いきなり大きな声を出さないで下さいよ、律先輩。 和先輩達はまだ寝てるんですから、迷惑になりますよ」 「いや、でも寝相って、そりゃいくらなんでも……」 言いながら、恐る恐る自分の耳を純ちゃんの口元に近付けてみる。 耳を澄ませば、すぐに純ちゃんの口元から安らかな寝息が聞こえた。 それはそれは安らかな寝息じゃったそうな。 「本当に寝てるだけかよ!」 「だから、大きな声を出さないで下さいってば。 さっきからそう言ってるじゃないですか、律先輩。 純ってばいつも『気を付けて』って言ってるのに、全然寝相の悪さが直らないんですよ。 人の布団に入ってくるし、人の顔は蹴ってくるし……、 ひどい時は今みたいに寝ながら服を脱ぎ散らかしたりもするんです。 特に昨日はクーラーを使えなくて寝苦しかったんで、 パジャマを脱ぎたい気持ちはちょっと分かりますけど……。 まあ、もう『慣れ』ましたけどね」 「でも、廊下で寝るってのは、寝相にしてはひど過ぎないか……?」 「あ、いえ、寝相と言うのは言葉のあやですよ、律先輩。 多分、純は半分眠ってる状態でトイレに行って、帰り道で力尽きたんだと思います。 ほら、あそこにパジャマもありますし、蒸し暑いから脱ぎながら帰って来てたんでしょうね。 実は純にはよくある事なんです。 前に純の家に泊まった時の話なんですけど、 私と一緒に部屋で寝てたはずなのに、目が覚めたら純は何故か玄関で寝てましたよ」 仕方が無い子ですよね、と付け加えてから梓が苦笑する。 すげー……。 純ちゃんもすげーけど、それに慣れ切ってる梓もすげー……。 そういや、さっき私は今の純ちゃんの髪型を無惨とか考えてしまってた。 何かの事件に巻き込まれたのかと思ってたけど、 こうして眠ってるって事は、今の髪型は単なる寝癖だって事か……。 何か、ごめん……。 無惨な髪型とか考えて、本当にごめん……。 5
https://w.atwiki.jp/majikon/pages/96.html
[即発送OK]【NDS新品】 ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣 価格:1,980円(税込、送料別) ●wiki Switchでメガドライブの名作が遊べる!絶対にハマる厳選4タイトル(週刊SPA!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『無双』ファンも『FE』ファンも納得の出来! 『ファイアーエムブレム無双』が40%オフ!!【電撃衝動GUY】 - 電撃オンライン エンディングがすごい!懐かしのファミコンソフト7選 工夫を凝らした演出に感服(鴫原盛之) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ゲームで挫折したタイトルは?3位ダークソウル、2位バイオハザード、1位はなんと...【アンケ結果発表】(インサイド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『ファイアーエムブレム 烈火の剣』リン・エリウッド・ヘクトルの専用武器 ソール・カティ、デュランダル、アルマーズがミニサイズで立体化!Amazonで予約受付中! - 電撃ホビーウェブ 『ファイアーエムブレム』シリーズ総合サイトに『ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣』キャラクターページが公開 - ファミ通.com 『ファイアーエムブレム』シリーズより、主人公「マルス」が描き下ろしイラストをモチーフに凛々しくフィギュア化!【今なら18%OFF!】 - アニメイトタイムズ 【ファイアーエムブレム】好きなFEシリーズランキング! 第1位は「聖戦の系譜」に決定!【2021年最新結果】(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』主人公 マルスが1/7スケールでフィギュア化!Daisuke Izuka氏描き下ろしイラストを元に立体化 - 電撃ホビーウェブ 『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』本日5月14日で25周年─実は「3すくみ」は本作から! 「結婚」や「個人スキル」などシリーズ初要素を詰め込んだ意欲作 - インサイド 『ファイアーエムブレム』シリーズのイラスト集が付録!任天堂専門誌ニンテンドードリーム6月号発売 - PR TIMES 初代『ファイアーエムブレム』が発売された日。シミュレーションRPGをゲームファンに浸透させるキッカケを作ったタイトルのひとつ。喪った仲間が復活しないシビアさもウケた【今日は何の日?】 - ファミ通.com 男性1位はまさかの“門番”さん!「ファイアーエムブレム ヒーローズ」第5回英雄総選挙の最終結果が公開 - GAME Watch 【FE】「ファイアーエムブレム」シリーズの中であなたが最も好きな主人公は?【人気投票実施中】 | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 「ファイアーエムブレム」作品どれが好き? シミュレーションRPGの草分けとなったFEシリーズ人気投票!(1/2) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 30周年を迎えた「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」のキャラクターページが開設。Nintendo Switch Onlineには特別バージョンが追加 - 4Gamer.net FE30周年。Switchで『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』全員生存で最終マップを遊べるように - 電撃オンライン 「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」が30周年!Switch Onlineでは名場面をいきなり遊べる「スペシャルバージョン」2種が配信|ゲーム情報サイト Gamer - Gamer 『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』30周年を記念してキャラページ開設。“Switch Online FC”にスペシャルバージョンの追加も - ファミ通.com 『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』本日4月20日で30周年─愛着が湧くユニットは、死ねば2度と戻らない! 読者の思い出や『風花雪月』プレイ率もお披露目 - インサイド 『ファイアーエムブレム』シリーズ第1作が発売30周年。「キャラがやられたら即リセット」シビアさも魅力なシミュレーションRPGの先駆的タイトル【今日は何の日?】 - ファミ通.com 30周年目前の『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』について一言! あなたの思い出やプレイ体験を大募集【アンケート】 - インサイド 「ファイアーエムブレム プレミアムアレンジアルバム II」CD発売決定 - PR TIMES 「暗黒竜と光の剣」から「風花雪月」まで収録! バンドアレンジされた「ファイアーエムブレム」のアルバムが発売決定! - GAME Watch 「ファイアーエムブレム」シリーズのマスキングテープや缶バッジなどのグッズが12月6日に発売 - 4Gamer.net 「ファイアーエムブレム無双」、有料DLCパック第2弾配信日決定 - GAME Watch 「ファイアーエムブレム無双」の追加コンテツ第2弾が2月15日に配信。「ナバール」「リンダ」「ミネルバ」がプレイアブルキャラクターに - 4Gamer.net 「ファイアーエムブレム無双」第2弾「ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣 追加パック」が2月15日に配信開始!|ゲーム情報サイト Gamer - Gamer 【特集】失敗が“思い出”になる『ファイアーエムブレム』─筆者が「ファルシオン」を入手できなかった理由とその結末! - インサイド | おすすめゲーム情報・攻略 「ファイアーエムブレム無双」3つのDLCが発表、新キャラクターと武器を実装 - IGN JAPAN 「ファイアーエムブレム」のこれまでとこれから。ファミコン時代の開発秘話から最新作「ファイアーエムブレムif」までを制作陣に聞く - 4Gamer.net Switchでメガドライブの名作が遊べる!絶対にハマる厳選4タイトル(週刊SPA!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『無双』ファンも『FE』ファンも納得の出来! 『ファイアーエムブレム無双』が40%オフ!!【電撃衝動GUY】 - 電撃オンライン エンディングがすごい!懐かしのファミコンソフト7選 工夫を凝らした演出に感服(鴫原盛之) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ゲームで挫折したタイトルは?3位ダークソウル、2位バイオハザード、1位はなんと...【アンケ結果発表】(インサイド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『ファイアーエムブレム 烈火の剣』リン・エリウッド・ヘクトルの専用武器 ソール・カティ、デュランダル、アルマーズがミニサイズで立体化!Amazonで予約受付中! - 電撃ホビーウェブ 『ファイアーエムブレム』シリーズ総合サイトに『ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣』キャラクターページが公開 - ファミ通.com 『ファイアーエムブレム』シリーズより、主人公「マルス」が描き下ろしイラストをモチーフに凛々しくフィギュア化!【今なら18%OFF!】 - アニメイトタイムズ 【ファイアーエムブレム】好きなFEシリーズランキング! 第1位は「聖戦の系譜」に決定!【2021年最新結果】(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』主人公 マルスが1/7スケールでフィギュア化!Daisuke Izuka氏描き下ろしイラストを元に立体化 - 電撃ホビーウェブ 『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』本日5月14日で25周年─実は「3すくみ」は本作から! 「結婚」や「個人スキル」などシリーズ初要素を詰め込んだ意欲作 - インサイド 『ファイアーエムブレム』シリーズのイラスト集が付録!任天堂専門誌ニンテンドードリーム6月号発売 - PR TIMES 初代『ファイアーエムブレム』が発売された日。シミュレーションRPGをゲームファンに浸透させるキッカケを作ったタイトルのひとつ。喪った仲間が復活しないシビアさもウケた【今日は何の日?】 - ファミ通.com 男性1位はまさかの“門番”さん!「ファイアーエムブレム ヒーローズ」第5回英雄総選挙の最終結果が公開 - GAME Watch 【FE】「ファイアーエムブレム」シリーズの中であなたが最も好きな主人公は?【人気投票実施中】 | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 「ファイアーエムブレム」作品どれが好き? シミュレーションRPGの草分けとなったFEシリーズ人気投票!(1/2) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 30周年を迎えた「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」のキャラクターページが開設。Nintendo Switch Onlineには特別バージョンが追加 - 4Gamer.net FE30周年。Switchで『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』全員生存で最終マップを遊べるように - 電撃オンライン 「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」が30周年!Switch Onlineでは名場面をいきなり遊べる「スペシャルバージョン」2種が配信|ゲーム情報サイト Gamer - Gamer 『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』30周年を記念してキャラページ開設。“Switch Online FC”にスペシャルバージョンの追加も - ファミ通.com 『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』本日4月20日で30周年─愛着が湧くユニットは、死ねば2度と戻らない! 読者の思い出や『風花雪月』プレイ率もお披露目 - インサイド 『ファイアーエムブレム』シリーズ第1作が発売30周年。「キャラがやられたら即リセット」シビアさも魅力なシミュレーションRPGの先駆的タイトル【今日は何の日?】 - ファミ通.com 30周年目前の『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』について一言! あなたの思い出やプレイ体験を大募集【アンケート】 - インサイド 「ファイアーエムブレム プレミアムアレンジアルバム II」CD発売決定 - PR TIMES 「暗黒竜と光の剣」から「風花雪月」まで収録! バンドアレンジされた「ファイアーエムブレム」のアルバムが発売決定! - GAME Watch 「ファイアーエムブレム」シリーズのマスキングテープや缶バッジなどのグッズが12月6日に発売 - 4Gamer.net 「ファイアーエムブレム無双」、有料DLCパック第2弾配信日決定 - GAME Watch 「ファイアーエムブレム無双」の追加コンテツ第2弾が2月15日に配信。「ナバール」「リンダ」「ミネルバ」がプレイアブルキャラクターに - 4Gamer.net 「ファイアーエムブレム無双」第2弾「ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣 追加パック」が2月15日に配信開始!|ゲーム情報サイト Gamer - Gamer 【特集】失敗が“思い出”になる『ファイアーエムブレム』─筆者が「ファルシオン」を入手できなかった理由とその結末! - インサイド | おすすめゲーム情報・攻略 「ファイアーエムブレム無双」3つのDLCが発表、新キャラクターと武器を実装 - IGN JAPAN 「ファイアーエムブレム」のこれまでとこれから。ファミコン時代の開発秘話から最新作「ファイアーエムブレムif」までを制作陣に聞く - 4Gamer.net #blogsearch #bf #technorati #blogsearch2
https://w.atwiki.jp/subcul40/pages/16.html
とざされたうみ グミ 依頼主 目的 場所 難しさ お礼 パス 備考 アイテム 依頼主 目的 場所 難しさ お礼 パス 備考 フシギソウ フシギソウと たんけん とざされたうみ B17F ☆6(700) ◎シザークロス 4-4- #4%1 8R#QY9&Y 9W+@ J=SK ジバコイル アブソルを たいほする とざされたうみ B19F ☆7(1000) ◎はかいこうせん そのた 0JH= J42- YSN@@JP1 48+F 3MPC ☆アイテム 依頼主 目的 場所 難しさ お礼 パス 備考 マニューラ ザングースをさがして とりかえす とざされたうみ B15F ☆6(700) マニューラのツメ 9R9T WJR# NH&QK9TS F6%N T&JW タマゴ(♂) 依頼主 目的 場所 難しさ パス 備考 ビブラーバ ビブラーバを たすける とざされたうみ B11F ☆4(400) 5CNY 9K8X 5X2-8-NY 05S% 9K-6 コロトック ばくれつのタネを とどける とざされたうみ B15F ☆5(500) HFS- #F1X WPW2CC8T 1750 8Q%7 タマゴ(♀) 依頼主 目的 場所 難しさ パス 備考 スボミー スボミーと たんけん とざされたうみ B14F ☆6(700) 8+&+ 14KF H=XCJP9P =0+W 8F=4 依頼主が仲間になる依頼 依頼主 目的 場所 難しさ 種族・性別 パス 備考 サニーゴ ノクタスをさがして とりかえす とざされたうみ B12F ☆5(500) サニーゴ♀ 7Y%- +%7J JM7M=%6J JCXT KYP9 チェリム チェリムを たすける とざされたうみ B12F ☆4(400) チェリム♀ %W8S %T9C 3F84QN66 W7%7 F859 おうごんのま依頼 依頼主 場所 難しさ お礼/種族・性別 パス 備考 スカンプー とざされたうみ B13F ☆6(700) タマゴ(♂) 7--6 -46X J-49MT4H F-90 S@%% たからさがし依頼 依頼主 探すアイテム 場所 難しさ お礼/種族・性別 パス 備考